クローン人間の僕と人間の彼女

朋はそう言うと、財布から1万円を取り出し、入れようとする。

俺は慌てて朋を止めた。


「おい!こういうのは気持ちなんだから、そんなに入れなくていいんだよっ」

「いいの!1万円でも少ないくらいよ」

「だから止めろって!!」

「だって、健治の命救って貰いたいんだもん」


朋のその言葉と、泣きそうな顔を見た瞬間、俺は止めるのをやめた。

朋はそのまま1万円札を入れ、暫く祈っていた。


「行こっか!」


朋は笑顔で言った。


「もうちょっと付き合って」


俺はそう言って、お守りのコーナーに朋を連れて行った。


「朋は何色が好き?」

「ピンク!」

「分かった」


俺はピンクのブレスレットみたいな数珠と、同じ形で透明の数珠を買うと、朋に渡した。


「…?」

「お守りだよ」

「ありがとう」


朋はすぐに袋を開けて、嬉しそうにそれを付けた。


俺の余命へのカウントダウンは、生へのカウントダウンなのか、死へのカウントダウンなのか分からない。


もし万が一、俺が死んだら……


功太と一緒に色んな危険から朋を守てくれよな?



神様……。