クローン人間の僕と人間の彼女

俺は今、気持ちに余裕が無い。
なのに医者は慣れた様に俺の言葉をかわす。
だから、俺は意地悪のつもりで言っただけだった…。


なのに、隣で朋が泣いていた。


「気持ちに余裕が無いのは分かるけど…周りの人間の気持ちを考えなさい。僕は絶対に君を死なせないよ」


さっき迄ヘラヘラしていた癖に、急に怒りやがって…。


”僕は絶対に君を死なせないよ”


俺はその言葉が欲しかっただけなのかもしれない。


”絶対”


その言葉が不可能だとしても……。


俺は初めて声を上げて泣いた


その後俺は無事に退院し、又いつもの生活に戻った。


「そう言えば、行きたい所があるって言ってなかったか?」


俺が聞くと、朋は慌てる様に言った。


「あっ、いいの。健治がちゃんと治ってからで」

「…?じゃあ、俺、行きたい所があるから付き合ってくれない?」

「うん!」


久し振りに二人で出掛けるからか、朋は嬉しそうだった。

朋と少し歩き、近所の大きな神社へと向かった。

神社に着くと、一番にお賽銭を投げ、手を合わせた。


「神頼みした」

「じゃあ私もっ!」