クローン人間の僕と人間の彼女

「俺は…無理だよ…」


遠くを見るような目で言う功太に、俺は何も言えなかった。

功太の気持ちが痛い程解るからこそ、変な慰めは傷を深くするだけだ…。


「まぁ、そう黙るなよ。俺は平気さ。ここに来てお前と朋ちゃんに遊んで貰うから」

「バカ、ここは病院だよ」

「だったな。明日の手術、頑張れよ」

「あぁ」

「死ぬなよ、絶対に!悲しむのは朋ちゃんだけじゃないんだ」

「分かってるよ」

「じゃあ、今日は帰るよ」


功太の朋に対する、気持ちの変化を感じたけど、俺は気にしなかった。

だって、もし俺が死んでも功太が守ってくれるだろ?


ー翌日


手術前、朋のいつもの言葉…。


”ちゃんと帰って来てね”


その言葉を聞いて手術室に行き、手術が終わって目を覚ますと、朋がナースコールで医者を呼ぶ。

今日も無事終わったのか…。

後何回、こんな思いをしないといけないんだ?

俺はイラついて、軽い検査をしに来た医者に聞いた。


「いつまで続くんだよ?」


俺のピリピリした空気に、一瞬周りが静かになったけど、医者は笑顔で答えた。


「もう少しだよ。後3つだから、今が負担なら1ケ月半置きに来て貰っても大丈夫だから」

「ふ~ん。俺、後三回で死ぬんだ?」