クローン人間の僕と人間の彼女

手術が無事終わる度、俺の余命が近付いて来る。

死ぬ為に生かされている錯覚さえ覚えるんだ…。


「用意出来たよ。寝よ?」

「あぁ…」


いつもの様に布団に入り、朋に腕枕をすると俺は願った。

もし神様が居るのなら、俺を連れて逝かないでくれ…。

やっと掴んだ幸せを、俺から取らないでくれ…。

その願いを叶えてくれるなら、俺は何でもするからさ……。


朝になると朋が言った。


「顔色が悪いよ?大丈夫?」

「一応病人みたいなもんだからな」

「私、今日会社休んで一緒に行こうか?」

「大丈夫だよ。会社は簡単に休むな。周りに迷惑を掛けるだろ?」

「…そうだね」


朋はションボリして会社に向かった。


功太も会社だ。
今日は俺一人か…。

俺はいつもより重い足を引きずって、病院に向かった。

そして、いつものように検査に回り、病室に入った。

病院の匂いが妙に落ち着く…。

俺はそのまま眠ってしまった。