クローン人間の僕と人間の彼女

医者がそう言っても…
俺の不安は消えなかった。


「大丈夫。今の医学では治せない病気は無いに等しい。それに病状が出ない限り、治療は出来ないんだから」

「…そうですね」

「じゃあ、次の検査で。後一年だ。頑張りましょう」

「はい」


何となく不安は消えなかったけど、医者の言う事も納得は出来る。

俺はモヤモヤした気持ちのまま、会社に向かった。

会社に着くと、俺の考えた、あのマークが旗になって飾られていて、俺は少し照れ臭い気持ちを隠しながら、会社の中に入った。

会社の中に入ると、近藤がタイミング良く歩いて来た。


「お、悪いな…」

「いえ、俺の方こそ…すみません…」

「病気が治ったらガンガン働いて貰うよ」

「…覚悟してます」


そう言って、俺と近藤は笑った。

やっぱり会社に入ると、近藤に対して敬語になってしまう…。
俺にとっての大先輩には変わりないんだ。

その時、奥の方から言い争う声が聞こえて来た。


「…又始まったな…」


近藤はウンザリした顔をして言った。


「何かあったんですか…?」

「仕方ない…行くか。健治も来い!」