クローン人間の僕と人間の彼女

翌日、朝起きたら黒岩さんは死んでいた。

しわくちゃになった昔の写真を握り締めて、凄く幸せそうな顔をして死んでいた…。

そして少しすると、黒岩さんと同じくらいの年齢の女の人が入って来て、泣くのを堪えきれない感じで泣いていた。

この人がカヨさんなのかもしれない…。

二人の間に何があったのかは知らない。


俺は怖くなった。
この光景は、俺が死んだ時の朋だ。

いや、朋なら取り乱すかもしれない。

クローンの死を初めて目の当たりにした俺は、親父とお袋が死んだ時とは全く別の感情が生まれた。


怖いんだ……。


俺はその場に居るのが怖くなって、朋や功太を待たずに一人で退院を済ませた。

もし、あんな所を朋に見られたら、朋が不安になるに決まってる…。


俺は家に着くと、健二の病気が書かれたノートを取り出し、確認した。


後何回手術があって、どんな病気になるんだ?


その時俺は見付けたんだ…。



真っ黒に塗り潰されたページを……。


気付いてたよ。
でも忘れてたくらいだ。
気にする事は無かった。




そして、そのノートを朋に見付からないように隠した。