クローン人間の僕と人間の彼女

「マジ?今度連れて来いよ」

「…無理だよ。見掛けるだけで名前も知らない」

「頑張れよ?」

「…あぁ」


功太が本気なのはすぐに分かった。
こんな顔、見た事無かったんだ。


「じゃあ、俺はそろそろ行くわ」


窓の外を見ながら功太が言った。


「…?」

「じゃあ、又暇な時に来るよ」

「ありがとな」


少しすると功太と入違いで朋が入って来た。


「変な気、使いやがって…」

「…何?」

「何でもない」


何故だか分からないけど、功太が心配だった…。


手術の日だけは朋に付き添って貰い、いつもの様に俺の入院生活は続いた。
そして退院が2日後に迫った日の事だった。


「いつもあの子は来てくれるね…」


日に日に弱っていく黒岩さんが言った。


「はい…。感謝してます」

「最近になって…昔の夢をよく見るんだ」

「…昔の?」

「あぁ。その度に後悔するよ…。周りに何を言われても…カヨが何て言っても…あの時もっと…」


黒岩さんはそう言って涙を流した。


「大丈夫ですよ。これから絶対に幸せになれます」

「ありがとう…」


黒岩さんは何度もそう言って涙を流した。