クローン人間の僕と人間の彼女

「じゃあ、行って来るね!」

「気を付けてな」

「私、仕事があるから前みたいに一緒に行けなくてごめんね…」


泣きそうな顔で朋が言った。


「大丈夫だよ。慣れてるから」


そう言って朋を送り出したけど、本当は寂しかった。
朋が居る生活に慣れてしまったからな…。


ーピンポン


病院に向かおうとした時、家のチャイムが鳴った。


「はい」

「よっ!」


そこには、笑顔で功太が立っていた。


「朋ちゃんが居ないから俺が一緒に病院に行ってやるよ」


功太…。
お前はエスパーみたいな奴だな…。
俺の心の中、いつも見てるだろ?

俺は功太と病院に行き、いつも通りに検査をすると、いつも通りに入院が決まった。

そして、病院に入ると懐かしい顔があった。


「久し振りだね」

「黒岩さん…お久し振りです」


久し振りに会った黒岩さんは、前より痩せて小さくなった気がした。


「今日はあの子は居ないのか?」

「仕事に行ってます」

「上手くいってるんだね」


黒岩さんは優しく笑うと、そのまま眠ってしまった。

荷物を置き、ベッドに横になると功太がぼやいた。


「俺、好きな女が出来たんだ…」