クローン人間の僕と人間の彼女

「でも…」

「実力世界はそうなんだ。心配するな。お前を追い抜いて、敬語を離させてやるよ」

「はい。じゃあ、宜しくお願いします」


速水との電話を切り、入院の準備をしようとすると、もう荷物は纏まっていた。

朋がやってくれたのか

朋が来てくれて、随分楽になったな…。


「ただいま」

「お帰り」

「あのマーク、どうなったの?」

「OKが出たよ」

「良かったね!今日はご馳走にするから」


そう言って朋は、張り切ってご飯を作り始めた。


「乾杯」


明日から入院の俺はジュースで乾杯をする。


「ありがとな」

「…?」

「ご馳走も、入院の準備も…」

「後一年もすれば養って貰えるからいいの。健治の病気が治ったら、結婚式を挙げて子供も作って…やりたい事がいっぱいあるんだから」


朋は楽しそうに言った。


「そうだな」

「健治は病気が治ったら、何がしたい?」

「さぁ…?」

「俺は…朋が居てくれたらいいんだ。そしてら、仕事も何でも頑張れる気がする」

「ずっと一緒に居ようね」

「あぁ」



これが、朋と交わした最後の約束だった…。