クローン人間の僕と人間の彼女

「だって、幸せになれる会社なんだからエンジェルでしょ?幸せを運んで来る天使!」


朋は目をキラキラさせながら言った。

エンジェルは頂けないけど…

”幸せを運んで来る”

をインプットして俺は考える事にした。

食べ終わって食器を洗う朋に俺が言う。


「それくらい、俺がやるよ」

「…いい!健治は仕事と治療の事だけを考えてくれたらいいの」

「でも…」

「その代わり治ったら、ガンガン稼いで貰うからね!」

「…あぁ」


俺は会社のマークを何度もイメージしては書き、書いては消して、又書き直す。

毎日、朝から夜までそれを繰り返し、そしてやっと完成したのは、丁度一週間経った時だった。


「ねぇ、見せてよ」

「ちゃんと決まったら見せるよ…」

「皆が見る前に見たい!」

「嫌だって」


何となく、朋に見られるのは恥ずかしい…。
朋がやっと諦めて気を抜いた瞬間、朋にマークを書いた紙を取り上げられ、見られてしまった…。


「……」


紙を見たまま朋は動かない。


「…ダメかな?」


すると朋は凄い笑顔で言った。


「ううん、いい!すっごくいい!」