クローン人間の僕と人間の彼女

俺は近藤に家まで送って貰うと、速水に電話した。


「もしもし」

「森本です」

「あぁ。会社の方はどうだ?」

「一ケ月後、稼働しますよ」

「分かった。仲間に伝えておくよ」

「詳しい事は又近い内に連絡するんで、一ケ月後から働けるように、お願いします」

「ありがとな」


電話を切ると、俺は親父とお袋の仏壇の前に座った。


”親父、お袋見てるか…?
会社も、朋も病気の事も、怖いくらい順調だよ。
だから俺…生きたいんだ。
近藤達と一緒に会社をやりたい。
朋との家庭も作りたい…。
だからどうか、このままで……”




「ただいまー」

「お帰り」


俺は玄関迄朋を出迎える。


「すぐにご飯作るからね!」


朋は毎日仕事に行き、家事迄こなす。
その事で嫌な顔もしないし、会社での愚痴も一度も聞いた事がない。


「俺も手伝うよ」

「ありがとう」


台所で二人並んで晩御飯を作ると、向かい合わせに座って、ご飯を食べながら今日あった事を話した。


「でさ、会社のマーク、どんな感じがいいと思う?」

「ん~…」


朋は少し黙り込むと、笑顔で言った。


「エンジェルマーク!」

「エンジェル…?」


俺は朋のセンスの無さに、ガッカリした。