クローン人間の僕と人間の彼女

翌日、俺は谷本工場に電話をした。


「森本です」

「あぁ、聞いてるよ。明日から働いて貰えるか?」

「はい!それから…友達も一緒にいいですか…?」

「友達も…クローンかい?」

「…はい」

「それは助かるな。なんせクローンの奴らは長続きしない」

「……」

「…君には期待してるよ」

「はいっ!ありがとうございます!!」


俺は感動していた。

今迄身内以外に必要とされなかったけど、俺を必要とし、期待してくれる人間が居たからだ。

谷本に感謝し、どんな立派な男なのかと想像した。

俺は功太にOKだと連絡し、部屋を出ると、まずはお袋に報告だ。


「仕事決まった」

「そう、やったわねっ!」


お袋は涙ぐみ、喜んでくれた。


「大袈裟だよ…」


俺は嬉しさを必死に抑える。


「お父さんにも伝えなきゃ。今夜はお祝いね」


親父が釣りから帰って来ると、久し振りに親子三人で食卓を囲んだ。


「で、何ていう会社に決まったんだ?」

「谷本工場だよ」

「そうか、そうか。一回社長さんに挨拶に行かなきゃな」

「やめてくれよ、恥ずかしいから」

「けんちゃん、しっかり働くのよ?」

「分かってるよ」