クローン人間の僕と人間の彼女

あれから俺は、朋と正式に付き合い始め、会社の創立も順調に進んでいる。

ただ、
気になるのは…。

生活費と、手術費用の残高だ……。

残高は残り300万を切り、俺の闘病生活は残り1年5ケ月。
会社が創立するのは半年後…。

手術を終え残高を見る度、銀行強盗でもしようかと思ってしまうくらい、俺は追い詰められていく…。

それで捕まって豚箱にでも入れられたら、俺の生命も終わってしまうけど。


こんな事、功太や近藤に相談出来る訳もなく、ましてや朋に…なんて以ての外だ。

俺は一人で悩むしかなかった……。


そんなある日、朋が言った。


「私、就職が決まったの」

「良かったな!何処で働くんだ?」

「健治の家のすぐ傍の、証券会社よ」


そう言って朋は嬉しそうに笑った。


「じゃあ、今より会えるな」

「…あのね、うちから遠いじゃない?だから…」

「だから?」

「…健治の家に越してもいいかな?」


朋の突然の言葉に、俺はビックリした。

朋がいつも傍に居るのは嬉しいし、家事も二人でやれば楽だけど…。


「伊集院さんが承諾したら、俺はいいけど…」

「本当?!」

「あぁ」