クローン人間の僕と人間の彼女

ー翌日


功太を連れて、マスターの店に向かう。


「いらっしゃい。谷本工場の社長に聞いてみたよ」

「……どうだった?」

「…採用してくれるそうだよ。明日、ここに電話するといい。名前は言ってあるから」


マスターはニッコリ笑って、一枚の紙切れを渡した。


「マスター、ありがとう…」

「良かったじゃん。今日はお祝いだ。飲もうぜっ!マスター、俺、カルピス杯」

「じゃあ、俺はジントニック」


俺達は夜遅く迄飲み、やっと見えた希望の光に盛り上がった。

帰り際、功太が言った。


「俺も働こうかな…」

「じゃあさ、俺と一緒に谷本工場で働こうぜ?」


功太には、会社の面接であんな嫌な思いをさせたくなかった。

差別を肌で感じる程の、人間の冷たい目…。


「マジっ?」

「俺が明日電話してやるよ!」

「じゃあ、頼むよ!」

「あぁ。仕事がちゃんと決まったらさぁ、バリバリ働いて、人間の奴らを見返してやろうぜ?」

「そうだな!出世して…人間の奴らが、頭をペコペコ下げるとか、気持ちいいだろうなぁ…」


酔っ払いの俺達は、かすかな希望の光に期待し、盛り上がっていた。