クローン人間の僕と人間の彼女

完璧な終わらせ方を頭の中で完成させ、退院した俺は、久し振りに朋の家へと向かう。


ーピンポン


「来てくれたのね?どうぞ」


インターホンの声と同時に門が開き、玄関に向かう途中に見える朋の部屋も、これが最後だと目に焼き付けた。

玄関を開けると、朋は嬉しそうな顔で出迎えてくれた。

朋は、俺が今日、何を話そうとしているのかを知らない。


そんな嬉しそうな顔なんて、しないでくれよ……。


「私の部屋に行こ」

「あぁ」


終わりを決心した俺は、朋の顔をまともに見る事が出来ない…。

そんな俺の気持ちも知らないで、朋は子供の様にはしゃいでた。


「会社の方は上手くいってるの?」

「あぁ。半年後には出来る予定だよ」

「そっかぁ!良かった!私ね、今度就職の採用試験を受けようと思って、昨日職安に行って来たの」

「就職すんの?」

「うん。健治が頑張ってるから、私も何か頑張らなきゃって思ったんだ」

「おぁ、頑張れよ」


話しを切り出そうにもタイミングが見付からなくて、時間ばかりが過ぎていく。

俺は朋の話を上の空で聞いていて、いつ切り出そうかと、そればかりを考えていた。