クローン人間の僕と人間の彼女

それから朋は宣言通り、毎日病院に通って来る。

俺はもう、朋とどう接すれば良いのか分からなかった。

そんな時、伊集院が病室を訪れた。


「土地、ありがとうございました。一度ちゃんとお礼を言いに行きたかったんですけど…」

「いいのよ。あの土地は、私と健二さんの新居を建てる為の土地だったの」

「……」

「…ずっと手放せなくて…。だから良かったのよ」


そう言って、伊集院は笑った。


「…そうですか」

「…それより朋の事だけど…退院した後に一度だけでいいの。うちに来てあげてくれない?」

「…でも」

「朋を好きじゃないなら仕方ないわ。貴方に強制するつもりもない…。でも、ダメならダメで、ちゃんとして欲しいの」

「……」

「一度だけでいいの。あの子の我儘を聞いてあげて?」

「…分かりました」

「お願いします。じゃあ、朋が来る前に私は帰るわ」


伊集院はそう言って病室を去って行った。

考えてみると、朋に辛い思いしかさせていない…。

ちゃんとしてやらなきゃな…。

このままじゃ、朋だって納得出来ない。


俺は綺麗な終わり方を、何度も何度も頭の中で描く。