クローン人間の僕と人間の彼女

手術を終え、病室で目が覚めると、そこには朋の姿は無かった…。


やっぱり夢か


ナースコールを押そうと頭上を向いた時、花瓶に飾られた花が目に入った。

その瞬間病室のドアが開き、朋の姿が見える…。


「目が覚めた?あっ、ナースコールは私が押す!」

「……」


朋は急いでベッドの傍に来て、ナースコールを押し、勝ち誇った顔をしている。


「何で…?」

「病院に電話して手術の日を聞いたの」


朋は笑顔で答えた。


「そうじゃなくて…。どうして来たんだ?」


朋の表情は一変し、今にも泣きだしそうな顔をして言った。


「心配…だったの…。いけない…?」


俺は何を言えばいいのか、分からない…。

朋が来てくれた事は嬉しい。
嬉しいけど…ダメなんだ…。


二人の間に沈黙が流れ、医者が俺の診断をしに入って来る。


「明日も明後日も…健治が退院する迄、毎日来るから!嫌って言われても来るから!」


朋はそう言い残して帰って行った…。


何でこうなるんだよ!


あの時、必死に朋を突き放したのに…。




何でだよ……。