クローン人間の僕と人間の彼女

翌日から、近藤は本格的に会社創立の手配を始めた。


俺は速水と連絡を取り、人事や作業着の事などに飛び回り、功太は俺や近藤のアシストをし、夢物語だった会社創立は、確実な形になり始めた。


朋とは俺が退院したあの日から、何も無い…。

それぞれが忙しく毎日を過ごし、俺も余計な事を考えないでいいように、必死に動き回った。

気が付けば、前の入院から一ケ月が経とうとしていて、

どんなに忙しくても、

何も考えないようにしていても、

俺は、この現実から逃げる事は出来ない…。


ーピンポン


「はい」


玄関を開けると、功太が立っていた。


「上がれよ。今日はもう終わったのか?

「あぁ。だってそろそろ検査だろ?入院の準備を手伝おうと思ってさ」

「いつも悪いな…」

「何言ってんだよ、バーカ。そう思うなら、ちゃんと治して、ちゃんと寿命を越えろよ?」

「そうだな…」


その前に金が底をつくなんて、功太には言えない…。


「おい、健治…。入院してた時のパジャマ、入ったままだぞ…」

「洗うの忘れてた…」

「仕方ねぇな」


そう言って功太は洗濯機にパジャマを入れ、洗濯を始めた。


功太、ありがとな…。