クローン人間の僕と人間の彼女

「すげぇ女…」


俺は一人で荷物を纏め、朋が持って来た花束をボーっと眺めた。

朋はどんな気持ちで、俺の話を聞いていた?

土地の為に利用されたと思っただろうな…。

でも、これでいいんだ。

嫌われればいい。


俺を恨めばいいんだ…。


その時、一部始終見ていた黒岩のおじさんが言った。


「泣いてたよ、彼女……。あれで良かったのか?」

「…いいんです」

「まぁ、長く一緒に居ればいる程、後が辛いからな…」


黒岩野おじさんはそう言って、昔を思い出しているように、遠くを見ていた。


俺は重い気持ちを引きずりながら、静かな家へと一人帰る…。


本当は今日、近藤も功太も家に来る予定は無い。

退院パーティーは、明日の予定だ…。

病院では一人になる事がなく、家に帰ると相変わらず孤独感が俺を襲う。


ーピンポン

誰だ…?


「はい」


ドアを開けるとそこには、功太が立っていた。


「パーティーは明日だよ?」

「知ってる。上がるよ?」


功太はズカズカと家の中に上がり込んだ。


「今頃寂しがってるんじゃねぇかと思って」

「お前…俺の彼女かよ?気持ちわりぃな」