クローン人間の僕と人間の彼女

俺と功太は顔を見合わせ、不思議そうに近藤を見る。


「乾杯って…何が?」

「あれ?お前ら知らないのか?」

「……?」

「伊集院さんから電話があって、土地を譲ってくれるそうだ」

「本当?」

「あぁ。飲もうぜ!」


近藤と功太が盛り上がる中、俺だけ一人複雑だった…。

土地を譲って貰える事が決まれば、朋と終わりにしようと思っていた。

その日がこんなに早く来るとは…。


「健治も飲めよ?」


何も知らない近藤が、俺に酒を進める。


「明日又、病院なんだ」

「じゃあ、健治は退院後だな」

「うん…」

「健治は退院後に祝い酒、いっぱい飲めるなぁ!」


近藤はそう言って大笑いすると、ビールを一気に飲み干した。

祝い酒か…。

朋と、どうやって終わりにしよう…。

俺の頭の中は、その事でいっぱいで、近藤の会社創立の話しも、上の空で聞いていた。

二時間程すると、近藤は酔い潰れてしまい、功太は俺の気持ちを悟っていたように俺に言った。


「まぁ、急がなくてもいいんじゃね?」

「…?」

「あの子の気持ちも、考えてやれって事」

「…そうだな」