クローン人間の僕と人間の彼女

「とりあえず、他も探してみるよ」

「じゃあ、俺も他の奴に聞いてみるよ」

「ありがとう。助かるよ」


それから三ケ月、仕事は決まらなかった。

断られる理由はいつも同じだ…。

義務教育を受けていた間は、多少の差別があっても、大人に守られていて、普通に勉強も出来た。

でも、実際に社会に出ようとすると、社会の人間は、俺を拒否する…。

俺の寿命?
お前だって明日死ぬかもしれないんだ!


全てが思い通りに行く奴なんて、何処にも居ないのは分かっている。


でも、これはそんな問題じゃないんだ。

そんな問題じゃないんだ…。




「あら、けんちゃん帰ってたの?」

「あぁ、そうぢょ。悪い?」

「違うわよ。電気が付いてなかったから」

「じゃあ、何処か行くよ。どうせ俺なんか邪魔なんだろ?」

「…けんちゃんっ!?」


嚙み合わない会話…。

今の俺は、気持ちに余裕が無い。

久し振りに、マスターの所にでも顔を出すか…。


「いらっしゃい。…あれ?久し振りだね」

「最近、忙しかったから…」

「そう。今日は何を飲む?」

「あ~、ジーマでいいや…」

「ジーマね」

「最近、お店忙しいの?」