クローン人間の僕と人間の彼女

「…でも、私から病院に行けなんて言わないわよ?」

「いいんだ。朋が昔みたいに笑ってくれたら」

「……バッカじゃないの」


誰が聞いてもバカだと思うのは分かってる。
でもそれが俺の本心だ。

俺は朋に笑って見せた。

朋はプイっと外を向く。

俺はこの空間が少し好きだ



次の日も、その次の日も、俺は病院には行かないで朋の家に通う。


体調の変化は無い。

でも、それが一ケ月続いた時

身体に違和感を感じる様になった……。


「ここ、どうしたの?」


俺の右腕を見て、朋が言った。


「さぁ…?」


俺の右腕には、身に覚えのない痣が出来ている。


よく見ると左腕にも…。


「それって…もしかして…」

「…?」

「…ねぇ、病院に行かないの?」

「行かないよ。だってただの痣だぜ?この前、飲んだ時にぶつけたのかなぁ?」


俺には、朋の心配そうな顔の意味が分からなかった。


「最近…立ち眩みとか…しない?」

「あぁ…そういえばそうかも。でも、痛みとか無いし、癌とは関係無いだろ」

「そんな事無い…」