クローン人間の僕と人間の彼女

功太を見送ると、朋の家に行く準備をしながら、時計を気にしていた。

本当ならもう、検査が始まる時間だ…。


家の電話がいつ鳴るか、いつ鳴るかと…
ドキドキしていた。

でも、電話は鳴る事は無かった。

少しの安心感と、少しの罪悪感が混じり合う…。


時計の針が午後を指すと、俺は朋の家へと向かった。

朋の家に向かいながら、何となく、健二の事を考えていた……。

健二の身体は癌に侵されていて、やっぱり痛かったりしたのだろうか?

次々に見付かる癌に絶望したのだろうか?

それでも健二は生きたかったのか?

俺には分からない…。


ーコンコン


「俺だよ。入るよ?」

「……」


部屋を開けると、朋は不思議そうな顔をして、俺を見ていた。


「何かが付いてる?」

「…検査は?」

「だから、行かないって約束しただろ?」

「…大体、病気って…何なのよ?」

「癌だよ」

「…癌?」

「俺の身体の主はね、沢山の癌に侵されて死んだんだ。俺はその癌迄引き継いだ。それだけだよ」

「…癌ってやっぱり痛かったり…する?」

「俺の場合、全部初期症状で治してるから、癌の症状は分からないんだ。でも末期とかになると、痛いんじゃないかな……」