クローン人間の僕と人間の彼女

「けど、今回はいいんだ」

「?」

「今回は検査だけだから…」


俺は功太に嘘を付いた…。
功太に心配を掛けるのも嫌だし、功太が朋に何か言ってしまうかもしれないからだ。

時には必要な嘘もある…。


「そうか」


功太はションボリと肩を落とす。


「元気ねぇな?ちょっと飲もうぜ?」

「あぁ!でも明日は検査だろ?」

「…少しくらい大丈夫だよ」

「そうか、じゃあ飲もうぜ!」


功太はそう言うと、いつもの功太に戻って、元気に飲み始めた。

そして、飲み始めて少しすると眠っていた。

いつもはタフな功太が…。


あれから、余り眠ってなかったのか?


俺は朋の事で、いっぱいいっぱいで…。
功太はその間、俺の事で悩んでいたのかもしれない…。

俺は一つの事を考え始めると、周りが見えなくなる…。


「ごめんな、功太」


薄い毛布を持って来て、功太に掛けると、俺もそのまま、そこで眠った……。


「…治?健治?」

「……ん?」

「お前、今日検査だろ?行こうぜ。俺、午前中なら暇だから付き添うよ」

「…あぁ。検査、今日は午後からなんだ」

「そうか。じゃあ、俺は帰るわ」