クローン人間の僕と人間の彼女

「…確かに俺が最初に近付いたのは、土地の為だ」

「最低ね」

「最後まで、ちゃんと聞けよ?」

「……」

「でも、俺は朋に惹かれてる。この前入院した時に気付いたんだ…朋が来なくて、朋の事ばかり考えてたよ…」

「…嘘っ」

「本当だよ。どうすれば分かってくれるんだ?」

「……」

「俺、一週間後に又、検査して入院になる。だから又ここには…」


俺がそう言い掛けた瞬間、朋が言った。


「本気で私の事を好きなら…入院なんかしないで、ここに来てよ?」


小悪魔の様な笑顔を見せて…。


少しの沈黙の後、俺は答えた。


「いいよ」

「どうせ嘘でしょ?今日はもう帰って」


そして又、朋は布団に潜りこんだ…。



朋は信じて無いだろう…。
でも俺は通うつもりだ。

治療兼生活費も、残り500万を切っている。

クローンの俺は、会社が出来る迄、働く所も無いんだ。

病気を克服する前に、金は尽きる…。

今、ここで病院に行っても行かなくても、俺は助からないだろう…。


親父、お袋…。
せっかく俺の為に金を遺してくれたのに、ごめんな…。



ごめんな……。