クローン人間の僕と人間の彼女

だって…


功太がそんな事をする


理由なんて無い……。


だろ?


ほんの数分間の沈黙が、凄く長く感じる…。


「…ごめん」


功太がやっと発した言葉だった…。


「何でだよ?お前、会社作りたくねぇの?!」


今迄一緒に頑張って来ただろ?
何でお前が足を引っ張るんだ?


「…違うんだ」

「何が違うんだよ?!」


土地の事だけじゃない…。
朋との関係までおかしくなっている今、俺の怒りは収まらない。

右手をギュッと握り締めて、功太を睨みつけ、怒りを必死に抑えながら、功太の言葉を待つ……。


「俺…。健治を助けたかったんだ…」

「?」

「だから俺…あの女に会って言ったんだ。”早く土地を譲ってくれ”って…。”健治が可哀想だ”って…」

「……。朋は何て?」

「”分かった”って…。だから俺、もう土地は大丈夫だと思ってた…」

「……悪いけど…今日は帰ってくんね…?」

「…ごめん」


そう言い残して、功太は帰って行った。

功太は…
俺の事を思ってやってくれたんだ。

それは分かる。

分かるけど……。


朋が傷付くのも、怒るのも、仕方ないよな…。


朋、ごめんな……。