クローン人間の僕と人間の彼女

「…朋。顔見せろよ?」

「やだっ」


俺は溜息を吐く。


「なぁ、朋…。何があった?言わなきゃ分からないだろ?」

「……」

「そのままでいいから、話してくれよ…?」

「…私が…心配…?」

「当たり前だろ?」

「…嘘ばっかり」

「えっ?」


朋は起き上がり、凄い剣幕で俺に言った。


「私と会ってるのは土地が欲しいからでしょ?!」


…何で朋が土地の事を知っているんだ…?

俺は何も言えなかった…。


ただ、そこに立ち尽くす事しか出来なかった…。


「……又、明日来るよ…」


やっと出た、精一杯の俺の言葉…。


「…土地の為?」


力無い声で朋が聞く。


「……明日、来るよ」


俺はそう言い残して、朋の部屋を出た。

土地の為?

いや、そうじゃないんだ…。
俺は朋に会いたかった…。


ただ会いたかったんだ。


でも、”土地の為じゃない”

それも違う…。


共に惹かれたくない気持ちと、惹かれてしまう自分の気持ちと…。

それでも朋に会わないといけない現実が、俺の気持ちを掻き回す…。


俺が人間だったら…。
あの背中の刻印の、トラウマさえなければっ…!