クローン人間の僕と人間の彼女

俺はかたっ苦しいスーツを脱ぎ捨て、服に着替えると、功太の家に向かった。


ーピンポン


「はい」

「健治です。功太居ますか?」

「あっ、けんちゃん?功太は今出掛けてるけど、上がって」

「じゃあ、お邪魔します」


功太んちのおばさんと俺は仲良しで、功太が居なくても上がり込んで、よく話していた。

俺にとって、第二の家だと勝手に思っている。


「ただいま~」

「功太、帰って来たわ」

「うん」


玄関に向かい、功太と功太の部屋に行く。
部屋でバカ話をしながら、功太に聞いてみた。


「功太はさ、働かねぇの?」

「考えた事無い。何、お前働くの?」

「そのつもり…。けど、クローンと寿命で落とされた」

「あー…。とりあえず、色々当たってみれば?」

「…みんな、どうやって仕事を決めてるんだろう…」

「さぁ?俺の知ってる奴らは、みんなプーだからな」

「だよな…」


俺がそう言って黙り込むと、功太が呟くように言う。


「…そう言えば、谷本工場ってとこは雇ってくれるって聞いた事ある!」

「…谷本工場?何処にあんの?」

「知らね。探してみる?」


俺と功太は、電話帳を調べたり、功太の友達に聞いたりしたけど


”谷本工場”


は見付からなかった……。