身代わり婚だったのに、極甘愛で満たされました~虐げられた私が冷徹御曹司の花嫁になるまで~

 耀のように見た目から計算されたオシャレなものは作れないが、祖母直伝の煮物や唐揚げを美味しいと褒めて貰えるのはとても嬉しい。
 しかし、少しでも結乃が包丁で指を切ったりすると飛んできて心配し、怪我が治るまで家事をさせてくれなくなる。

 もしかしたら、耀は鋭利な雰囲気に反して元から過保護な性格なのかもしれない。

(それにしても、こうして耀さんと並んで動物園に来て、冗談を言い合うなんて、お見合いをした時には考えもしなかったなぁ……)

 あれから3ヶ月もたっていないのにずいぶん昔のことのような気がするのは、色々なことが一気に起こりすぎたからだろうか。

「そろそろ昼飯にするか――結乃?」

 園内を歩きながらつい感傷に浸っていた結乃は耀に自分の名前を呼ばれて我に返る。

「はっ、ごめんなさい」

「まったく、ぼんやりしていると迷子になるぞ」

 耀は苦笑しながら、既に繋いでいた手を一度ほどき、指を絡めるいわゆる『恋人繋ぎ』にしてからギュッと握り直した。

「は……はい、すみません」

(こういう感じになるなんて思いもしなかった……)