身代わり婚だったのに、極甘愛で満たされました~虐げられた私が冷徹御曹司の花嫁になるまで~

 結乃はこの際だからと切り出す。

「もう少し私も耀さんの妻としての役割をいただけないでしょうか」

「役割? 君は俺の実家にたまに顔を出しているだろう。それで十分だ」

 耀は結乃との距離を詰めたまま淡々と応える。

 たしかに結乃は今までに数回、ひとりで田園調布の宇賀地家に顔を出している。

 でも、主に耀の母と世間話をして、祖父のご機嫌を窺って帰るだけだ。
 結乃にとってそれほど負担ではない。しかも帰りにはいつも耀の母が高級なお菓子を持たせてくれるので、ちゃっかり楽しみにしているくらいだ。

「あまり外に出せる立派な奥さんではないかもしれないですけど、そこは努力します。まあ、何を努力しろって話なんですけど……まずはもう少しお家のことを任せていただきたいんです」

 つまるところ苦労性で貧乏性の自分にとって、週3ハウスキーパー付きで送迎付きのこの快適セレブ生活は落ち着かないのだ。

「なんというか、この生活に慣れてしまうと、この家を出た時に元の生活に戻るのに苦労しそうで」

「結婚したばかりなのに、もう離婚後のことを心配してるのか」