身代わり婚だったのに、極甘愛で満たされました~虐げられた私が冷徹御曹司の花嫁になるまで~

 その後、予定通り祖母を見舞ったものの、何となく外で食事という雰囲気ではなくなってしまったので、ふたりで家に帰ることにした。

「簡単なもので構わないか?」

 着替えを済ますと耀はキッチンに向かう。
 簡単と言いつつ、彼はいつものように手際よくおいしい夕食を何品も作ってしまうのだろう。

(耀さん、さっきのことで機嫌が悪くなってもおかしくないのに、優しい……)

 巧巳が立ち去った後、結乃はすぐに従兄の態度を謝った。
 耀は『君が気にすることではない』と言ってくれていた。
 大人の態度を取り続けてくれる耀に申し訳なさがつのり、結乃は彼の後姿に向かって声を掛けた。

「あの耀さん、改めてさっきはすみませんでした。巧巳君、単純に私のこと心配してあんな風に言ったんだと思うんです」

 耀は歩みを止めて振り返る。

「ずいぶん俺に対して敵意むき出しだったがな」

 若干低くなった声色にやはり耀は気分を害していたのだと気付く。

(少しでもフォローを入れておかないと。耀さんは私と離婚した後も嵯峨家とは良好な関係を保つと言ってくれてるけど、両方の跡取り同士が険悪なままじゃ良くない)