身代わり婚だったのに、極甘愛で満たされました~虐げられた私が冷徹御曹司の花嫁になるまで~

 耀の胸に顔を埋めたような状態に自分が危なかったことも忘れて胸が高鳴る。

 これまで手を引かれたり頭を撫でられたりすることはあったが、ここまで密着するのは初めてだ。
 逞しい胸や腕、彼の香りをダイレクトに感じる。

「焼き鳥屋でもあったか?」

 いつか酔っ払いから助けた時のことを思い出したのか耀は少しからかうような口調になった。
 しかし、結乃は言い返すことができない。
 
 彼に密着している部分から熱が伝わってくる。心臓がうるさいのは家族以外の男性とここまで近づいたことがないからだ。
 己の経験値の無さが悲しい。

 でも、彼の香りも温もりも嫌な感じがしない。それどころか……。

「どこか痛めたか?」

 ガチガチに固まっているのがわかったのだろう。心配した耀がこちらを覗き込む。

「いえ、この状態が恥ずかしくて……すみません」

 正直に伝え、頬を赤くしつつ耀を見上げる。

 二十四歳にもなって何を言ってるんだかと思うが、恥ずかしいものは恥ずかしい。

 結乃の表情を見た耀は目を見開く。そのまま解放してくれる……と思いきや、逆に腕の力が増した。

(……え、え?)