身代わり婚だったのに、極甘愛で満たされました~虐げられた私が冷徹御曹司の花嫁になるまで~

 掃除や洗濯などの家事は結乃が行うようにしているが、元々週三でハウスキーパーが入っているのでたいして家の中は汚れない。

「何というか、あんまりやることなくて困っているというか……」

 頻繁に祖母のお見舞いに行ってはいるものの、何もできないほど忙しいわけでもない。

 そもそも結婚しても仕事を続けたいと我儘を言ったのは結乃なのに、毎日の送迎に手間を割いてくれている。

 今まで、特に両親が亡くなってからは誰かに甘える事がなかった結乃は、過保護ともいえるこの扱いに少々困惑していた。

(そのくせ、耀さんといると安心するし、世話焼かれるのが嬉しいと思っちゃってるんだよね……)

「その内弁当持たせられるかもしれませんよ。僕も一時期専務に手作り弁当渡されてましたから」

「え、手作り弁当ですか、耀さんの?」

「はい。秘書になってすぐの頃、弁当作りにはまってたらしく『ひとつもふたつも手間は変わらない』って僕の分も作って来てくれてたんです」

 湊は思い出し笑いをしている。