身代わり婚だったのに、極甘愛で満たされました~虐げられた私が冷徹御曹司の花嫁になるまで~

 同期から関係が始まっているふたりなので、彼らの間には上司部下を超えた絆のようなものを感じる。

 結乃も話しやすい湊とすっかり打ち解けていた。

「それよりどうです? ラブラブ新婚生活は」

「ラブラブ前提で言いますか」

 からかう湊に結乃は苦笑する。

 宇賀地家で挨拶した後、ふたりは婚姻届を区役所に提出、夫婦になった。
 それから半月ほど経った今、結乃の左手の薬指には耀とお揃いの真新しいプラチナリングがはまっている。

「ラブラブはおいといて、耀さんは、ずっとよくしてくれてます。朝ごはんは必ずといっていいほど作ってくれますし、時間が許せば夕食も。いつも申し訳ないと思ってるんですけど」

 料理は趣味だからと楽しみを奪われたくないと言われると手を出せない。それに、彼は手際がよくあっという間に見た目も栄養バランスも完璧なおいしい食事を作ってしまうのだ。

 それに興味のあるお店を見つけると『料理の参考にしたい』と結乃を連れて行く。
 彼が選ぶ店はどこも外れがない。そして毎日のようにケーキやお菓子を買ってきてくれる。

 とても嬉しいのだがこれでは舌と共に体が肥えてしまいそうだ。