身代わり婚だったのに、極甘愛で満たされました~虐げられた私が冷徹御曹司の花嫁になるまで~

「耀さんは誠実な人ですし、毎日お仕事が忙しい中でも私にとても優しくしてくれています。そんな耀さんを育ててくれたご両親やおじいさまにも感謝していて……えっと、ですから私もそんな耀さんの妻として恥ずかしくないように日夜努力しようかと……」

 途中からその場に居る人の視線をビシバシと感じ、焦って言葉が尻すぼみになってしまった。

(まずい、今の令嬢的に変な発言だったかもしれない。少なくとも日夜努力はおかしい……!)

 スーパーセレブ一族を前にして失言だったかと結乃は内心慌てる。

 すると源三が面白くなさそうに呟いた。

「ふん、まあいい。耀、お前も結婚するなら、この家に戻ってきたらいいだろう。いくらでも部屋は空いている」

「嫌ですよ。これから新婚生活を送るんですから、妻とふたりでいたいに決まってるじゃないですか」

 耀がすげなく答えるとさらに源三は眉間に皺を寄せた。

「なら、早くひ孫の、跡取りの顔を見せるんだな」

(ひ孫、跡取り……)

 その意味に思い当たり、結乃はひとり頬を熱くする。
 ひ孫や跡取りということは子供をつくるということ。
 そして子供をつくると言うことは彼とそういうことをすることだ。