身代わり婚だったのに、極甘愛で満たされました~虐げられた私が冷徹御曹司の花嫁になるまで~

『でも、今日君の事情を知って気が変わった。お互い目的がある割り切った結婚が出来そうだと』

『目的?』

『俺は社長の座、君は金。わかりやすいだろう』

『……っ!』

 はっきりと言われ息をのむ。彼の口調はただ事実を伝えるよう淡々している。
 きっと本心だ。

『俺は最短で社長になれるし、面倒な根回しもいらなくなるから今の仕事に集中できる。一方君は今回のことでさらに費用が必要になった。違うか?』

 彼の言う通り、祖母の入院、リハビリ、そして退院後の生活のケアにもそれなりにお金がかかってくる。

『俺が社長になるまで妻の役目を果たしてくれればいい。代わりに諸々の費用はこちらで用意する』

 耀は”嵯峨家令嬢”の自分と結婚し、社長の座が約束される。

 対価として祖母の入院に関わる費用は全額耀が孫娘の夫として支払ってくれるという。
 それに実家の改修費用は見合いを成功させた報酬として約束通り嵯峨家が負担してくれるはずだ。

 それなら入院中も祖母に最善の治療を受けさせられる。リハビリもしっかりできる上、退院後もあの家で安心して暮らせるようになる。

 思考を巡らせる結乃に耀は冷えた声で付け加えた。