身代わり婚だったのに、極甘愛で満たされました~虐げられた私が冷徹御曹司の花嫁になるまで~

 結乃は耀に事情を明かした。母が嵯峨家の次女だったこと、父と駆け落ちし実家に縁を切られていたこと、そして結乃がふたりを事故で亡くし嵯峨家に引き取られた時期があったことを。

『――だから一応嵯峨家の血筋ではあるんですけど、嵯峨家で育てられたわけではなくて高校生の時厄介になっていただけなんです』

 家の修繕費用と祖母の生活費のために代役を受けた経緯も正直に話した。

 黙って聞いていた耀だが、お金の話が出たところでわずかに表情が強張った。それはそうだろう。金目的で見合いの代役なんて軽蔑されてしかるべきだ。

『本当にごめんなさい』

 気付くと車は実家の前まで来ていた。静かに停車させると、耀はこちらを向いた。

『やはり都合がいいな』

『どういうことですか?』

『俺の結婚相手に君が都合がいいということだ』

『ちょっと待ってください。さっきも言いましたけど、私は庶民ですから、宇賀地さんにはふさわしくありません』

 耀の言葉に結乃は困惑したが、彼は呆れたように言う。

『見合いに臨んでおいて今更ふさわしくないとはずいぶん自分勝手だな』

『うっ……たしかにそのとおりなんですが』