身代わり婚だったのに、極甘愛で満たされました~虐げられた私が冷徹御曹司の花嫁になるまで~

「まさかこんなことになるとは……」

 今結乃がいるのは祖母と暮らす山崎の家ではなく、耀の住むマンションだ。

 結乃に与えられたのはシンプルなデザインだが高級とわかるベッドとサイドチェストが置かれた広いゲストルーム。
 奥にウォークインクローゼットがあり結乃の荷物はそこに置いてある。柔らかな朝の光が差し込む明るい部屋。

(……現実感がない)

 部屋を見回しながら結乃は昨夜のことを思い出していた。


『俺と結婚しないか?』
――耀にそう言われたとき、結乃の頭の中は真っ白になった。

 ぽかんとする結乃を病院の駐車場まで連れていき耀は車の助手席に乗せた。

『あの、結婚って冗談ですよね?』

 座ったタイミングで我に返った結乃は耀に尋ねたが、彼は無言のまま身を乗り出して結乃のシートベルトを装着し、ゆっくりと車を発進させた。

『まず、確認させてくれ。君はお祖母さんとふたりであの家で暮らしているのは事実か?』

『はい……すみません。黙っていて』

(そうだ。まずちゃんと話さなきゃ)