身代わり婚だったのに、極甘愛で満たされました~虐げられた私が冷徹御曹司の花嫁になるまで~

 暗い気持ちでエントランスにロビーに入った時、視界に入った人影に思わず結乃は立ち止まった。

「宇賀地さん?」

 そこには帰ってもらったはずの耀がいた。
 結乃の姿を見とめるとこちらにやってくる。

「お祖母さんの様子はどうだ?」

「あ……はい、今は落ち着いています」

 結乃が答えると耀は「そうか」と声を落とす。

「宇賀地さん、心配して来て下さったんですね。ありがとうございます」

 きっと一度自宅に戻った後、もう一度様子を見に来てくれたのだろう。
 なんだかこの人には会うたびに何かしらの迷惑を掛けている気がする。

「ああ、気になったからな。それと君に話したいこともある」

「話したいこと?」

 首を傾げる結乃に耀は「急な話だが」と前置した後、信じられない言葉を口にした。

「俺と結婚しないか?」


***


『本当に結乃は行かなくていいの? ホームセンター好きなのに』

 仕度を終えた母が玄関先で振り返る。

『高校生になってまでどこへでも親について行かないよ。たまには夫婦でどーぞ』

『そういうもんか。彼氏が出来たらなおさら一緒にいてくれなくなるんだろうなぁ』
 寂しいなと父がしょんぼりする。