身代わり婚だったのに、極甘愛で満たされました~虐げられた私が冷徹御曹司の花嫁になるまで~

 何も知らない清の勢いに押され耀は話を合わせてくれたのだろう。
 焦っていると布団の中から好奇心いっぱいの視線を感じた。

「おばあちゃんも結乃の彼氏に会ってみたかったねぇ」

「あのね、ふたりとも彼はそういうんじゃなくて」
 ”俳優みたいなイケメン”との関係をありのまま話したところでこの人たちを混乱させるだけだ。
 言い淀む結乃を照れていると勝手に勘違いしたのか、ふたりはそれ以上突っ込まないでいてくれた。


「じゃあね、おばあちゃん。また明日くるから」
 
 面会時間がもうすぐ終わる時刻。鎮静剤が効いたのか寝てしまった祖母に小声で声を掛け、結乃はそっと病室を出た。
 深い溜息をつきながら病棟の廊下を進む。
 
 祖母や清の前では明るくしていたが、ひとりになった途端気が抜けて急に不安が襲ってくる。
 医師には祖母は高齢のため回復には時間がかかるし、不自由さは残る。
 さらに寝たきりにならないように注意が必要だと言われている。
 
 治療費のこともある。長期になればなるほど負担は大きくなる。今あるわずかな貯金でそれが賄えるのだろうか。

(どうしよう……)