身代わり婚だったのに、極甘愛で満たされました~虐げられた私が冷徹御曹司の花嫁になるまで~

「どんな仕事を?」

「主に、資材の発注業務や在庫管理です。うちの会社は化学繊維工業なので、海外からの原料の輸入も多くて……」
 
 耀は自社と違う事業分野の企業に興味があるのかもしれない。
 結乃は大企業の専務相手に緊張するなと思いつつ、自分がわかる範囲で丁寧に業界や自分の担当業務の説明をした。
 
 しばらくすると車が止まり、運転中ずっと黙っていた湊が困惑気味の声を出した。

「えーっと、住所的にはここみたいなんですけど、合ってますか?」
 
 車は間違いなく結乃が帰るべき家の前に止まっていた。

「はい。ここです……あ」

(しまった! いろいろ動揺して、車に乗る時湊さんに正直にここの住所言っちゃった)

 お見合いに際して自分は『子供の頃両親を無くし、その後嵯峨家で育った娘というふれこみだったはず。
 高校生が子供かというのは微妙だし、嵯峨家にいたのは4年ほど。
 嘘を付いているかいないかと聞かれるとギリギリアウトではないだろうか。
 お見合いの席ではその辺のことを深く突っ込まれなかったのでこれ幸いと流していたのだ。
 
 とにかく帰るのがこの家というのはおかしい。