身代わり婚だったのに、極甘愛で満たされました~虐げられた私が冷徹御曹司の花嫁になるまで~

 そうわかっていながら言わずにはいられなかった。ないならないで会社宛てに菓子折りでも送ればいいだろうか。

(いやでも、食品会社の専務さんに菓子折りってハードル高いな……)
 
 すると、こちらを見て少し考えていた耀が思いついたように口を開く。

「この前のことはもう詫びはいらない。だが、今日のことで礼をしたいと思うなら、付き合ってもらいたい場所がある」

「場所ですか」

「もし、付き合ってくれるなら日程を調整して別途連絡するが」

「は、はい! どこへでもお供しますっ!」

 自分に出来ることがあるのならと元気よく返事をすると、耀は男らしい口元を綻ばせ一瞬表情緩めた。

「そうか、ではよろしくたのむ」

 それは笑顔とは言えない程のわずかな表情の変化。
 しかしお見合いで見た取り繕った笑みとは全く違っている。彼の素を初めて見た気がしたしてついまじまじと横顔を窺う。

「そういえば会社帰りと言ったが、いつも君はこんなに遅くまで仕事をしているのか?」

「あ、いえ、いつもではないんですけど、たまにありますね。今日みたいな月末は業務が集中するのでどうしても遅くなります」
 結乃は我に返って答える。