身代わり婚だったのに、極甘愛で満たされました~虐げられた私が冷徹御曹司の花嫁になるまで~

(いや冗談じゃなかったですよね。しかもなんか面白がってますよね?)

 結乃の疑いの目に気付いているのかいないのか、湊は人好きのする笑顔で言った。

「宇賀地の秘書を務めております、湊祐也(ゆうや)といいます。以後、お見知りおきを」

 もうお見知りすることはないとわかっていながらの社交辞令と思いつつ結乃は頭を下げた。

「山崎です。お騒がせしてすみません。酔っ払いに絡まれていたところを宇賀地さんに助けていただいたんです」

「そうだったんですか、絡まれるなんて災難でしたね。大丈夫でしたか」

「はい、すぐに宇賀地さんが来て下さったので」

 すると耀が突然意外なことを言い出した。

「結乃さん、遅いし危ないから車で送っていく」

「えっ、大丈夫です。遅いといってもまだ9時にもなっていませんし」

「あんなことがあった後にひとりで帰るのは怖いだろう。この辺りはあまり治安がよくない」

 ご心配はありがたいが、毎日通勤している道だ。それに駅はすぐそこだ。

「いえ、本当にこれ以上ご迷惑かける訳には」