身代わり婚だったのに、極甘愛で満たされました~虐げられた私が冷徹御曹司の花嫁になるまで~

 冷蔵庫の中身を把握し朝の短い時間でデザートにしてしまう御曹司とは、と心から感服する。

 ソファーで耀と並んで頂くお手製プリンは口当たりも良くカラメルの程よい苦みと相まって文句なく美味しかった。

「耀さん、今日病院で先生とお話したんですけど、お祖母ちゃん来週からリハビリ病棟に移れることになりました」

 プリンをあっという間に平らげた結乃はコーヒーを飲みつつ祖母の状況を報告する。

 あの家を売る話が出ていることについては、もう少し自分の考えを整理してから耀に話そうと思い避けた。

「そうか、良かったな」

 耀がこちらを見て頷く。
 短い返事だが、その表情はホッとしたように綻んでいて心底喜んでくれている気がした。

(私の好きな耀さんが、私の大切なものを大切に思ってくれてる……)

 切ないほど嬉しい複雑な感情があふれてきて結乃は思わずソファーの隣に座る耀の二の腕に頬を寄せる。

「結乃、疲れたのか?」

 言いながら耀はそっとその腕に結乃を招き入れ優しく抱きしめてくれた。
 今では慣れ親しんだ何よりも安心する香りと温もりに包まれる。