身代わり婚だったのに、極甘愛で満たされました~虐げられた私が冷徹御曹司の花嫁になるまで~

「宇賀地さん、実は何度かひとりでここにお見舞いに来てくれてたの。結乃は気を遣うだろうから黙っておいてくれって頼まれていたんだけどね」
 初耳だった。結乃はほぼ毎日仕事帰りにここに顔を出していたが、耀は日中時間を見つけてはここを訪れていたらしい。

「その時に、結乃がたまに夢でうなされていたって話をしたの。そうしたら宇賀地さん『結乃さんのことは俺が必ず守ります。だからお祖母さんは安心して治療に専念してください』と言ってくださったのよ」

「そう……だったんだ……」

 喉の奥が詰まり、声がちゃんとだせない。

「あの家は結乃の大切な場所でもあるから、勝手には決めはしないけれど、結乃は宇賀地さんとの幸せを最優先に考えて欲しいの。それがおばあちゃんの幸せだからね……ありがとうね。今までおばあちゃんを守ろうとしてくれて」
 そう言いながら祖母は皺のある手で結乃の手を優しく握った。


 祖母との面会はいつもより随分早めに切り上げた。

 本当はタクシーで自宅に向かうところだが、マンションに戻る前にこれからのことをひとりで考えてみようと、近くのコーヒーショップに向かって歩く。