こうして『今度』の話をされると、この生活がまだしばらく続くのだと嬉しい。

 でもその分浮かれてはいけないと自制する気持も大きくなる。

 この結婚生活は彼には社長になるためのものだ。そして自分には祖母を支えるという何にも代えがたい目的がある。

(だから絶対考えちゃダメ……耀さんが次期社長に指名される日が少しでも先になればいいなんて)

「はい。そうですね。行きましょう! 私、観覧車に乗って夜景を見たいです」

 自分の醜い感情に無理やり蓋をし、結乃は笑顔を作った。