【Side 爽】
物心ついた時からいつも俺のそばにいた、ちっちゃくてふわふわの髪の女の子。
周りの子たちと比べてかなり小さかったから、その子はいつもみんなに注目されていて、「可愛い」と言われていた。
俺だって、ずっと可愛いと思ってた。
でも素直に可愛いと口にするのはすごく恥ずかしくて、照れくさくて。
だけど、その子の気を引きたくて…気がついたら、気持とは裏腹なことを言っていた。
「咲姫の髪ってくるくるパーだよな~」
「くるくるパーじゃないもん、天然パーマだもん!」
「いや、チビのくるくるパーだろ?」
「ひどい。爽くんのバカ!」
「バカって言った方がバカなんだよ~」
からかうとムキになる、その反応が面白くて可愛くて、わざとからかってた。
そうやってそばにいられることが楽しかった。
幼いながらに、俺は咲姫のことが好きだったんだ。
でも、小学校3年生になる時、父親の転勤で引っ越すことになった。
結局、咲姫には好きだと伝えられないまま―。
