「夏川~!準備サボんなよ~!」
不意に微妙な空気と沈黙を破って、男の子の大きな声が聞こえた。
「やべ。俺戻るわ」
そう言って、爽くんは男の子がいる方へ走って行ってしまった。
ちょっと、言い逃げしないでよ!
ひとり取り残された私は、まだ放心状態。
動悸が激しくなって、耳元まで心臓の音が響いて聴こえる。
だって……爽くんが私を好きだなんて……。
「咲姫、遅いよ~! 何してたの?」
バーベキュー会場の河原に戻ると、流風ちゃんが言った。
もうすでにみんなお肉や野菜を焼いて食べ始めていた。
「……ごめん、お手洗い寄ったら混んでて」
まさか爽くんに告白されたとは言えず、とっさに言い訳しちゃった。
「ねぇ、日生と伊吹、結構イイ感じじゃない?」
声をひそめて、流風ちゃんが嬉しそうに言う。
ついさっきまでは、ふたりのことが気になってしょうがなかった。
でも、今の私はそれどころじゃない。
私はどうしたらいいの……?
結局、ほとんど上の空でバーベキュー大会は終了した。
日生くんとも、ほとんど話さないまま。
