少しずつコツをつかみ始めてだいぶ形になって来た頃、下校時刻の放送が流れ始めた。
「今日はここまでにするか」
「うん。今日も下校時間までありがとう」
笑顔で素直にお礼を言う篠宮。
「いや、俺が教えるって言ったんだし」
ホントはただ俺が篠宮とふたりきりになりたかっただけだし。
「なんか、日生くんにはいつも助けてもらってるね」
それでも篠宮は申し訳なさそうにそう言う。
今までのことも、ただ俺が篠宮に近づきたくてやったことなのに。
「何か私にできることがあったらお礼するから」
「お礼?」
「うん」
「なんでもいい?」
俺がそう訊くと、
「え? うん、私にできることだったら」
篠宮は一瞬戸惑いながらも真面目にそう答えた。
素直っていうか純粋すぎるっていうか。
なんで俺がそんなこと訊いたのかわかってないんだろうな。
この状況でそんなこと言われたら、ホントにやばい。

