「そもそもなんでバスケ教えてもらってたの?」
「自主練習で残ってたら偶然通りかかったみたいで、教えるって言ってくれて」
「日生くんが?」
「うん」
私と流風ちゃんが話していたら、
「……ごめん、今日委員会の打ち合わせあるから先に戻るね」
伊吹ちゃんがお弁当箱を片付け始めた。
「え? さっき来たばかりだよね」
私がそう言うと、
「うん、ごめんね」
伊吹ちゃんは急いでいるのか、慌てて席を立って校舎の方へ走って行ってしまった。
……どうしたんだろう?
伊吹ちゃん、今日はいつもとちょっと様子が違う。
朝も休み時間も教室にいなかったし、さっきも一緒に行こうとしたら「先に行ってて」って言ってたし…。
そういえば、この騒ぎで今気づいたけど、今日は伊吹ちゃんとほとんど話してなかった。
渡り廊下の方に視線を向けながらそんなことを考えていると、
「……ねぇ、咲姫。もう一度訊くけど、ホントに日生とは何もなかったんだよね?」
流風ちゃんが言った。

